元スイス政府観光局日本支局長 現日本旅行業協会勤務 |
阿部 かすみ さん |
あべ かすみ・第1期生 |
高校卒業後は観光の専門学校に進み、旅行会社に就職した阿部かすみさん。その後もさまざまな旅行業界の業務を担当してキャリアを積み重ね、長きにわたり国内外で活躍しています。そこで今回は、「お仕事の内容」や「心がけていること」といった仕事に関することや、「外国を体験してほしい理由」、そして第1期生ならではのエピソードなどをうかがいました。(取材2024.04.30.杉山+児玉)
現在私が勤めているのは旅行業界団体の協会で、協会の会員である旅行会社さんがスムーズに仕事をできるように支援したり、日本のみなさんに「外国に行きましょう!」と海外の魅力をお伝えすることを目的に活動しています。そのなかで私の担当は、ヨーロッパと中東。観光ツアーに適した場所を探しに視察団に加わったり、会議やセミナーに参加したりしています。先日はイスタンブールで開催した「トルコ国交樹立100周年の観光促進協議会」で、日本のアウトバウンドの現状などを説明してきました。
トルコ国交樹立100周年の観光促進協議会で出席者と記念撮影
ピラミッドをバックに記念撮影
決定的なきっかけがあったわけではないんです。今思えば、子どもの頃、「兼高かおる世界の旅」という紀行番組が好きで、海外への憧れはありました。……この番組、同年代の方しかご存じないですね(笑)。あとは、高校生の頃、旅行会社の広告を見て「旅行関係の仕事っていいな」と思ったような記憶がうっすらとあります。
「観光」を学ぶことにしました。当時は観光学部のある大学は少なかったので、旅行関係の専門学校に進学しました。卒業後は旅行会社に就職し、8年間勤めました。次にアメリカ資本のホテルで主に日本でのフランチャイズ開拓の仕事をし、その後、スイス政府観光局に転職。この頃は、3か月に1度、スイス出張をしていました。17年勤めた後に早期退職し、現在の協会に。上長や仕事関係の方々に恵まれ、長い間、楽しく旅行関連の仕事に携わっています。
そうだったらよかったですけれど(笑)。英語の勉強に力が入ったのは、専門学校に入ってから。両親に「成人式の着物はいらないから、外国に行かせて」とお願いし、カリフォルニアに行ってからです。
現地では1か月間の英語の夏季コースにも通ったものの、残念ながら授業にまったくついていけませんでした。それでも学校の友だちや近所のコンビニの店員さんなどが親切にしてくれて、コミュニケーションを取るのが楽しかった。こうした経験から、「英語が上達すればもっと楽しいだろう」と実感し、帰国してから参考書で必死に勉強しました。遅いスタートです。社会人になってからは、どの職場でも語学が堪能な人ばかりで肩身が狭かったです(笑)。ただ旅行関係の仕事なので、仕事の現場でも英語を学ぶ機会があったのはラッキーでした。
相手のためになるようベストを尽くすこと。たとえば今は、旅行業界を支える協会にいるので、旅行会社のリクエストに応え、その方々のプラスになるために仕事をしています。どんなお仕事でも、自分は何を求められているかを理解し、お給料に見合う働きを意識することは大切ですよね。
私は1期生で、入学時にはまだ体育館が工事中。体育の授業は、茶畑を走った記憶しかありません(笑)。勉強は苦手で、ツラかった(笑)。休み時間などに成績のいいクラスメートに家庭教師をしてもらうこともありました。あの頃にもっと勉強しておけば……。「後悔先に立たず」ですね。
楽しい思い出と言えば、修学旅行。私たちは尾道と山口に行きました。グループでいろいろ調べて計画を立て、レンタル自転車に乗って町を散策したり、電車に乗ったりして、面白かったですね。ふだんの学生生活も楽しく、のびのび過ごしていました。こうした雰囲気は、武蔵村山高校の魅力ですね。
ちょっと照れくさいですが……。海外に出ると、私たちが学ばなければならないことが見えてきます。同時に日本の良さを実感するなど、多くの気づきがあります。こうした体験は、自分の糧になりますから。ぜひ多くの人に外国を体験してもらい、日本人の国際化が進めばいいと思います。言葉や費用の問題もあるけれど、ぜひチャレンジして欲しいですね。
あと何年かで定年を迎えるので、そのあとをどう過ごすかを考えている最中です。今の仕事を継続する可能性もあります。その一方で、今までの経験から得たものを、海外旅行の一助となる活動に役立てられないかと考えています。ボランティアでもいいので、セミナーを開いたり。漠然とそんなことを考えています。
阿部かすみさんプロフィール
立川市出身。観光の専門学校卒業後、(株)日本旅行に入社。その後、海外ホテルチェーンの勤務を経てスイス政府観光局に入局し、2011年に日本支局長に就任。現在は(一社)日本旅行業協会 海外推進部の副部長を務め、日々、日本の旅行業界の活性化に力を注ぐ。
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